北朝鮮の金正恩第1書記は、幹部を次々に処刑して恐怖政治を行っていだけでなく、脱北や国外への情報流出、国内への情報流入を防ぐことに躍起になっている。しかし、様々な策も功を奏さず、というべきか、そんな状況に嫌気が差したのか、幹部の脱北が相次いでいる

こうした状況に対して、北朝鮮当局も幹部や海外出張者に厳しい制限を設け、行動の監視をさらに厳しくしているが、あまりに厳しすぎることから幹部たちはさらに萎縮する結果を生んでいるという。

外国人との接触すら禁止

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋は次のように語った。

「平壌の貿易部門の関係者はもちろん、朝鮮労働党中央の高級幹部ですら、保衛部の承認なしに外国人との接触が禁じられた。道端で知り合いの外国人にばったり会って握手しただけで保衛部に呼び出されるほどだ」(平安北道の内部情報筋)

情報筋によると、貿易省の幹部が中国の貿易業者の打ち合わせのため、平壌市内の大同江ホテルを訪れたところ、知り合いの外国人に出くわした。握手を求められたので応じたところ、保衛部の知るところとなり呼びだされた。

取り調べで「なぜ承認なしに握手をしたのか」と聞かれた幹部は「外国人から『会えて嬉しい』と言われたら『承認を得てから握手をしよう』と言わなければならないのか」と抗ったところ、解任されたという。

国外出張の場合は、保衛部の要員を必ず連れていかなければならず、国内で外国人とビジネスの話をする場合は、保衛部反探局に15日前に「面談申請」を提出する義務がある。

また、許可が出ても、ホテルや税関の面談室でしか会えず、事前申請した時間を守らなければならない。面談室には当然のことながら盗聴器が設置されており、ビジネス以外の話は一切できない。

幹部や関係者からは当然のことながら、「刑務所の面会みたいだ」「こんな雰囲気ではまともに話もできない」と不満が続出している。さらに海外出張から帰ると、滞在中のスケジュールを分単位まで記録した「生活総和報告書」の提出を求められる。危険人物扱いとも言える当局のやり方に嫌気が差し、できる限り海外出張は控えようという雰囲気だという。

貿易関係の部署のみならず道、市、郡の人民委員会、保安署(警察署)、一般の国営企業などにも保衛部員が配置され、職員の一挙手一投足を監視している。何かあって口答えでもすれば「お前の政治生命を終わらせてやる」などと脅かすという。

保衛部にとってはオイシい状況かも知れないが、こんな状況が続けば、貿易も行政も滞り、国全体が硬直してしまう。能力があっても幹部になろうとする若者が減っているというが、こんな状況では国の今後が危ぶまれる。

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