2月8日は、旧正月だ。金正恩第1書記は、新暦の正月を奨励し、旧正月当日のみを祝日とし、連休を廃止してしまった。しかし、「旧正月を迎えてこそ新年」という北朝鮮の人々の長年の習慣をそう簡単に変わることはないだろう。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋は、旧正月を迎える北朝鮮の様子を伝えてきた。草の根市場経済化で男性の経済的優位は崩れつつあるが、この日ばかりは酒を飲んで、カード遊びに興じて何もしない。

炭売りのバイトに勤しむ中高生

一方で女性は、男性たちの酒とつまみの容易に奔走する。今年の旧正月は、炭火で煮込んだチゲ(鍋料理)がブームだという。

平壌などの都会の人々が自宅で炭を使うようになったのは2010年頃のことだ。電力事情の悪化で暖房が使えなくなり、ガスより安く爆発の危険もないという理由というのがその理由だ。

さらに注目すべきは「炭火で調理した料理は健康によい」という理由だ。これは、食料の確保だけで精一杯だった時代が終わりを告げ、健康にも気を使うという時代が到来しつつあることを示す。だから、年始回りにやって来た友人、知人をもてなすには炭火でぐつぐつ煮えたチゲが最高だという。

炭火料理がプチブームとなり、炭の需要が伸びている。商売人たちは、マンションを訪ね歩き、炭を売っているが、最近は中高生も炭売りのバイトを始めたという。

幹部やトンジュ(金主、新興富裕層)の学生は、親からもらったお年玉でショッピングをしたり映画を見に行ったり楽しい旧正月を過ごしているが、貧しい家の学生は、炭を売って回るという。声の小さい若者はメガホンを片手に「スッサセヨー!」(炭いらんかえー!)と炭を売り歩いている。

思春期の若者なら恥ずかしがるものだが、彼らは「親が山の中の炭小屋で焼いた炭を売るのはむしろ親孝行」と考えているようで、住民をそんな彼らを見て子どもたちに「彼らは働き者で孝行者だ。見習いなさい」と教えるという。

炭を供給しているのは、山の中の炭焼き小屋で暮らして炭を焼いている人々だ。時々都会に降りてきて、市場や行商で炭を売るが、トンジュの中には、車で炭小屋に乗り付けて、大量購入した炭を市場に卸して儲けを得る人もいるという。

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