平壌などの都会の人々が自宅で炭を使うようになったのは2010年頃のことだ。電力事情の悪化で暖房が使えなくなり、ガスより安く爆発の危険もないという理由というのがその理由だ。
さらに注目すべきは「炭火で調理した料理は健康によい」という理由だ。これは、食料の確保だけで精一杯だった時代が終わりを告げ、健康にも気を使うという時代が到来しつつあることを示す。だから、年始回りにやって来た友人、知人をもてなすには炭火でぐつぐつ煮えたチゲが最高だという。
炭火料理がプチブームとなり、炭の需要が伸びている。商売人たちは、マンションを訪ね歩き、炭を売っているが、最近は中高生も炭売りのバイトを始めたという。
幹部やトンジュ(金主、新興富裕層)の学生は、親からもらったお年玉でショッピングをしたり映画を見に行ったり楽しい旧正月を過ごしているが、貧しい家の学生は、炭を売って回るという。声の小さい若者はメガホンを片手に「スッサセヨー!」(炭いらんかえー!)と炭を売り歩いている。