2012年の大統領選挙を例に挙げると、与党が強い大邱市や慶尚北道在住の脱北者は、与党の朴槿恵候補に95.8%が投票した。一方、野党が強いや光州市や全羅南道在住の脱北者は、野党民主統合党(現共に民主党)の文在寅候補に51.5%が投票した。ちなみに脱北者を含めた全体の投票率は前者が80.14%、後者が90.62%だった。
また、同じ年に行われた国会議員選挙でも、大邱市や慶尚北道在住の脱北者は、セヌリ党に91.1%、民主統合党は6.7%を投票したが、光州市や全羅南道在住の脱北者は、民主統合党が60.7%、セヌリ党に32.8%が投票した。
つまり、保守か、リベラルかという政治傾向より、地域社会がどちらを支持しているかという地域の傾向が、脱北者の投票行動に影響を与えたことになる。保守が強い地域では保守に、リベラルが強い地域ではリベラルに投票するという「体制順応」が現れたと読み取れる。