「これは警察に聞いて知ったのやけど、オレの使うてたやつは、韓国で(北朝鮮工作員が使用して)見つかったソフトより、2段階ほどバージョン・アップしたものらしい。何でそんなもんが必要だったかって?そらまあ、あっち(本国)の事情が大きいな。色んな所から見られてるやろうから……」
自分の接触していた北朝鮮の人間は、米国や韓国、中国の情報機関から常に監視されている――Yの言葉は、こう示唆したも同然だった。
ただ、具体的にどんな内容を暗号化していたかについては、最後まで語ることはなかった。情報機関筋が話す。
「北朝鮮の情報活動でステガノが使われていた例は、国内では初めて。府警はYが暗号化したファイルの解読にスーパーコンピューターを使っているのだが、それでも開けないものがたくさんあるらしい」
府警が解き明かせなかったのは、暗号化ファイルの内容だけにとどまらない。本国から与えられた「使命」をはじめ、Yの活動の核心をなす部分が、ほとんど未解明なのである。
「日本の警察には不可能」
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