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「概ね事実やけど、ニュアンスが違う。まず、その大学教員と知り合ったのは大学院に入った2006年の春ごろで、きっかけはゼミの指導教授の紹介やった。互いに誘い合う飲み友達で、日朝両国の懸案について中長期的にやり取りできる対話の場を作ろうと話し合った。そこに、『敵対する関係でも接触する関係が必要』という本国の意向が働いていたのは事実や」

ほかの質問にはあいまいに答えていたYも、この問題に限ってはかなり詳細に説明した。もしかしたら、こうした日朝の「ルート作り」こそが、彼の本来の「使命」だったのかもしれない。

続けて本人の話を聞こう。

「『軍人同士で会いたい』とは言うてないし、『交渉の最終目的は設けない』というのも少し違う。事前に議題を決めずに会って、互いの関心事を出し合いましょうというのが本来の趣旨や。そうすれば自ずと安全保障について話すことになるから、軍関係者が席に着くことも考えられるというわけや。

「第一候補」は石破氏

ただ、こちらの望みはあくまで『グラスルーツ(草の根)』レベルでの交流で、政府高官を引っ張り出すつもりはなかった。新聞には、こちらが松原仁拉致担当相(当時)に接触を図ったように書かれているけど、それは違う。あっちの方が大学教員を通じて、『自分につないでくれ』と言ってきたというのが真相や」

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