この説明について、件の大学教員に事実かどうか確認したところ、「自分とYさんとの間に若干の認識の違いがあったかもしれないが、経緯としては間違いない」との回答が得られた。また、Yはこうも言っていた。
「松原サイドからの打診を受けて、本国は悩んだ。近いうちに民主党から自民党に政権交代する可能性が高かったからな。それを先方に伝えたら、『政権交代したら、必ず自民党の実力者にバトンタッチする』と言うてきた。その第一候補として名前の挙がったのが、石破茂幹事長や」
松原サイドが自民党きっての「安保政策通」である石破の名前を持ち出したのは、やはりYの背後に、北朝鮮軍部の影を見ていたからだろうか。あるいは一方において核開発を加速させる最中、Yを通じて密かに対話を打診してきた北の姿勢に、ただならぬものを感じたからかもしれない。もし交渉が継続されていたのなら、政権与党の中枢と北朝鮮軍部との間に独自チャンネルが開かれた可能性もあった。Yは言う。
「ウリナラ(わが国)かて、戦争なんかしとうはないねん。でも状況しだいでは、万が一のことが起きてしまう。そうなりかけた時に、対話の場があるのとないのとでは大違いやないか」
ちなみに新聞報道の中には、Yが日本政府側に「政府認定の拉致被害者以外にも特殊な環境で暮らす日本人がいる可能性があり、そういう問題を解決したい」と示唆したとする内容のものがあった。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面