北朝鮮の電力事情は、世界最悪と言っても過言ではないだろう。一般住宅地はもちろんのこと、平壌市内の外国の大使館ですら頻繁に停電が起こるほどだ。ただでさえ厳しい冬季の電力事情は大寒波の襲来でさらに悪化。平壌から東海岸を結ぶ鉄道は15日もかかる有様だ。

「自然エネルギーを広範に利用しよう」と訴える朝鮮中央テレビ(画像:朝鮮中央テレビキャプチャー)
「自然エネルギーを広範に利用しよう」と訴える朝鮮中央テレビ(画像:朝鮮中央テレビキャプチャー)

金正恩第1書記は、今年の「新年の辞」で「電力問題の解決に全党的、全国家的な力を入れるべき」「自然エネルギーを積極的に利用して電力不足の問題を解決する」と、電力問題が非常に厳しいことを念頭から強調した。

朝鮮中央テレビも「皆が非常なる愛国の熱意を抱き、電力問題解決のための闘争に立ち上がろう」という番組を放送している。(動画、外部リンク)しかし、そもそも電気がなければ、放送すら見られない。「電力不足」どころか「電力不在」とも言うべき状態だ。

しかし、新年の辞での言及をきっかけに、社会全体が電力不足解消に向けて動き始めている。

平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、中央からの「電力問題解決に全党的、全国的に力を入れよ」との指示が下り、各機関、企業所では積極的に動き始めた。

これによって、影響で発電所、配電所などで必要とする交流接触器、自動開閉器など電気関連の設備が中国から大量に輸入されている。これは、中央の「平壌、東平壌、北倉(プクチャン)の各火力発電所の老朽化した設備を整備、補強せよ」との指示によるものだ。今年に入ってからの数週間で、3万ドル(約356万円)分が輸入されたほどだ。

また、一般住民が使用する充電器、バッテリー、ケーブル、電話線なども輸入されている。庶民は中国製を主に使用し、幹部やトンジュ(金主、新興富裕層)は税関にワイロを渡して、韓国製、日本製、エジプト製のソーラーパネルを輸入、使用している。

中央からは「自然エネルギーを活用せよ」との指示が下されており、ソーラーパネルを設置して発電を行う工場、企業所も増えている。

国内生産に向けてに、中国からソーラーパネルの材料も輸入している。朝鮮中央通信は、国産の高性能蓄電池、知能型高速充電器が人気を博していると伝えている。

一方、庶民たちは当局から言われるまでもなく、ソーラーパネルを自宅に設置し、電気を「自力更正」している。平壌のみならず、地方都市でもそこかしこにソーラーパネルが存在する。

ちなみに、デイリーNKジャパンでは、以前から電力問題解決のために、自然エネルギーの活用を提言している。

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