北朝鮮初のファーストフード店がオープンした。朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)の機関紙、朝鮮新報が25日、平壌のクムソン交差点に先月初旬、「速成料理センター(ファストフード店)」であるサムテソン清涼飲料店がオープンしたと報じた。

朝鮮新報は、この店はワッフル販売店を営んでいるシンガポールの企業の協力を得てオープンしたと伝えた。また、「シンガポールは設備だけを提供して、人材や食材は北朝鮮のものを使っている」と紹介した。

同新聞によると、従業員がオープン前に、シンガポールから派遣された担当者から料理とサービスの教育を受けたという。味は品評会を重ねて北朝鮮の住民の口に合わせたそうだ。

メニューは、「牛肉のミンチとパン」というハンバーガー(190ウォン、1.2ユーロ)と、「焼いたパンチヂミ」というワッフルだという。100%ヒラメが原料の「ヒラメのミンチとパン」、高脂肪の食べ物を嫌うお客さんのための「野菜とパン」もある。ハンバーガー、ジャガイモのおかゆ、キムチが出てくるメニューもある。飲み物は炭酸飲料水やクムガン生ビール(76ウォン、0.4ユーロ)が用意されている。

午前11時から午後9時まで営業し、15人ほどの従業員が勤めているが、スタッフは20代の女性が多いそうだ。メニューは毎月新しくなり、今後、クロワッサンとホットドッグが追加される予定だ。

新聞は「メニューやレストランのインテリアを見ると、外国のハンバーガー専門店のような印象を受ける。そのため、マクドナルドのような西洋の食文化が入ってきたという風にメディアは騒いでいるが、実態は違う」と主張した。

また、「速成料理という造語も今回新しく作られた言葉だ。近いうちに平壌市内に支店をオープンする予定と説明している。

北朝鮮ならではのファーストフード店がオープンしたが、一般の住民が利用することはなかなか難しそうだ。

北朝鮮にいた頃に食堂のサービス分野の責任者を勤めていた脱北者のパクさんによると、「韓国でハンバーガーを初めて食べた時は、あまり口に合わなかった。北朝鮮の住民の口に合わせれば、人気が出るだろう」と予想した。

一方で、「値段が安いことから材料を大量に仕入れていると思われがちだが、実際に北朝鮮では不可能なことだ。表では北朝鮮の住民向けだと宣伝しているが、実際には外国人や幹部向けにオープンした店だ」と指摘した。

この店のお勧めメニューであるハンバーガーと「クムガン生ビール」の値段が、それぞれ190ウォンと76ウォンである。これは北朝鮮の物価を考えてもかなり安い。北朝鮮の代表的な屋台料理の「人造肉(ソイミート)ご飯」や「餃子ご飯」が、1食100ウォン〜150ウォンで売られているのに、牛肉が入ったハンバーガーを190ウォンで売るというのは、常識では考えられない。平壌市内の「生ビール屋台」で「ビール供給券を出しても、1000CCが1杯で800ウォン以上する。「ビール供給券がなければ、1500ウォン〜2000ウォンも払わなければならない。

パクさんは「これだけ安いので、おそらく外国人や幹部向けのもので、一般の住民には平壌の『玉流館』のように、人民班ごとに支給される『供給券を持っている人だけに公示値段で売るのだろう」と予想した。結局、対外宣伝用のお店ということである。

個人が牛を飼うことができない北朝鮮の制度を考えると、食材を持続的に供給できるのかどうか、疑問も生じる。北朝鮮では牛肉は、市場の価格も決まっていない非常に珍しい食材だ。ちなみに豚肉は7月現在、平壌地域の市場で1キロ当たり4000ウォンで売られている。

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