「情報保全隊の北朝鮮担当は、警察でいえば署長や課長クラスの幹部、それも心理戦や朝鮮語を習得したエリートです。そういう面々が現場で動いているから、警察や公調が取れないネタも取ってくると聞いたことがある。ある韓国関係のパーティーで流暢な韓国語を操る男性がいたので、知人の公安に仲間かと聞いたら『防衛省』だと言っていました。たぶん、情報保全隊員なのでしょう。ハム担の中にも、情報保全隊の実態を知る者はほとんどいません。エピソードを拾えれば、なかなか面白いネタになるんですが」(公安担当記者)
しかし、防衛省は国会で情報保全隊の活動内容が取り上げられた際、「自衛隊への働きかけを防止するため、警察やインターネットから情報収集している」という趣旨の答弁をしている。この説明と「心理戦のプロ」や「韓国語の流暢な男」の存在は、かけ離れているのではないか。この疑問に公調OBは、こう回答する。
「小ネタの乱獲」
「情報保全隊は警察や公調と異なり、調査に関わる何の権限も与えられていないんだ。役所に行って、調査対象者の住民票や外国人登録のデータを見ることすら許されていないから、そういった基本情報については治安機関頼みにならざるを得ない。その一方で、北朝鮮工作員の動きや日本国内でのスパイ網など、国土防衛に直結する情報についてはやたらと詳しかった。金大中事件が示唆しているように、韓国側と安保の機微に触れる情報をやり取りしているのだろう」