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金大中氏の大統領選出馬を阻止するために、韓国中央情報部(KCIA)が白昼堂々、東京・飯田橋のホテルグランドパレスから同氏を拉致し、工作船に乗せて連れ去った。これを察知した米軍がヘリコプターを飛ばして殺害を中止させたともいわれるが、真相は藪の中だ。

だが、この事件に調査隊関係者が関わっていたことは、あまり知られていない。陸自中央調査隊出身で興信所を経営していた元3等陸佐は、KCIA要員である韓国大使館員から金大中氏の動向調査を依頼され、現職の陸自東部調査隊の隊員とともに同氏を尾行した。

そして、KCIAは元3等陸佐らが突き止めた情報によって金大中止を拉致した。これが警察の捜査で明らかになった“事実”だ。

この調査隊が、2000年のボガチョンコフ事件を機に情報保全隊となり、07年のイージス情報漏洩事件を受けて、それまで陸海空自衛隊に置かれていた情報保全隊が統合され、防衛大臣直轄の自衛隊情報保全隊となった。そして、現在は1000人近い隊員を要する、公安調査庁(公調)に次ぐ規模の防諜機関に成長したのだ。

何の権限もないスパイハンター

あるハム担(公安担当記者)は、情報保全隊を「公安以上に秘密のベールに包まれている」と指摘する。

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