北朝鮮社会に大きな影響を及ぼしている韓流ドラマ。平壌マダムの間では高級韓国製化粧品が流行、若者の間では韓国式の誕生日会が流行している。さらに韓流ドラマは、北朝鮮のマンションの構造すら韓国式に変えつつある

当局は、学校にスパイを送り込むなど、ありとあらゆる方法で韓流の取り締まりを行っている。中には、運悪く刑務所送りになる人すらいる。しかし、取り締まる側すらも韓流ドラマを見ているというコントのような有様だ。

普段から「国外からの情報流入、国外への情報流出を根絶せよ」と口を酸っぱくして言っている金正恩第1書記は昨年末、改めて「韓流禁止令」を下した。ところが、この指示は保安員(警察官)や裁判官がワイロをかき集めるネタにしかなっていないという。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、当局は昨年12月26日、各道庁所在地で住民総会(人民裁判)を開き、韓流映画やK-POPを見たり聞いたりして逮捕された住民に対して、5年以上の教化刑(懲役刑)に加えて、家と財産没収の刑を言い渡した。

さらに、被告の家族に対しては連座制が適用され、交通の便も暮らし向きもよくない山奥の村に追放された。

北朝鮮では、指示や法律の施行開始直後は、「見せしめ」の意味を込めて、厳密な適用がなされる場合が多い。しかし、すぐになあなあになってしまい、ワイロをせびるネタと化してしまう。

中朝国境沿いの両江道(リャンガンド)では、指示が下された直後からそのような傾向が現れているという。

別の情報筋によると、現地では同様の指示が12月19日に下されたが、今までどおりワイロを払えば見逃してもらえることには変わりはない。

その代わり、今回の指示をきっかけにワイロの相場が高騰し、中国人民元で3000元(約5万4000円)に達したとのことだ。

コメ750キロが買える額だけあり、北朝鮮の庶民にとってはかなりの大金だが、本人が刑務所送りに、家族が農村送りになるよりはマシなので、頑張ってかき集める。一方の保安員や裁判官は「我々も人間だからあまり過酷な処罰は望んでいない」「3000元でもかなり安くしているんだ」とうそぶいているという。

さらに「我々も上役にワイロを渡さなければならないから、お互い様だ」などと言って、処罰ではなく、ワイロを払わせる方向に持っていくとのことだ。

地方政府の高級幹部ですら、スズメの涙ほどの給料しかもらえない北朝鮮。地位を利用してワイロをかき集めたり、ブラックなビジネスを行ったりしなければ、生きていけないのだ。

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