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大紅湍(テホンダン)郡の内部情報筋によると、核実験の衝撃で白頭山のカルデラ湖である天池(チョンジ)と三池淵(サムジヨン)湖の水面が激しく波打っていた、白頭山が噴火するのではないかという話が広がり、地域住民が恐怖に震えているという。

2012年2月の核実験の際も、三池淵湖の複数箇所から硫黄の匂いがする水蒸気が吹き出したという話が広がった。当局は動揺を鎮めるため「訓練」との名目で、地域住民を1週間避難させた。

この話はおそらくデマと思われるが、だからと言って全く根も葉もない話とも言い切れない。白頭山の噴火可能性については以前から提起されており、北朝鮮当局も調査を行っている

最後の噴火は1903年。最近になって火山性地震や岩の亀裂、周囲にある温泉の水温の上昇などが観測されているものの、近年中に大噴火を起こす可能性は極めて低いと言われている。正確な火山情報を流すメディアが存在しない北朝鮮では、デマにより不安が急速に広まってしまうのだ。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記