今では、内閣や中央機関などの行政実務職に就く幹部らが、中央党に抜擢されることに消極的になっている。多くの幹部らが、面従腹背・保身主義に走り、金正恩氏と距離を置こうとしている。2013年に金正恩氏の叔父だった張成沢(チャン・ソンテク)氏が処刑されてから、金正恩氏の恐怖政治が強まっているからだ。
こうした事情から、「ガンで闘病中と伝えられている対米外交の司令塔・姜錫柱(カン・ソクジュ)朝鮮労働党書記の後任でさえ、選べない状況に陥っている」と、別の情報筋は語った。
多くの課題を抱えている中央党だが、依然として金正恩体制を支える中核機関であることには変わりない。韓国の統一研究院は、来年の労働党第7回大会を通じて、金正恩氏は、党の機能と権限をより強化して、自らを支えるエリート陣営を構成しながら、それを公開する狙いがあると見ている。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。