45 北朝鮮は繰り返し、他国、この場合は韓国と、特別なつながりを持つ国民、又は関係があると主張する国民が、韓国に戻るか、あるいは長く離散している家族に会うための便宜を享受する権利を尊重する義務を怠っている。韓国の親戚との接触及びコミュニケーションを阻止するために北朝鮮が実施している激しい妨害工作は、国際人権法下の国家の義務に違反している。こうした制限は、恣意的かつ冷酷であり、非人道的である。関係者が高齢になっていることを考え合わせると、特に、一度合意された離散家族の一時的な再会が全く説得力のない理由で中止された場合に顕著である。
D. 食料の権利及び生存権に関する侵害
46 北朝鮮の置かれている状況において、食料の権利、飢餓からの解放、及び生存権は、食料の不足や必需品へのアクセスといった狭い議論に収まらない。北朝鮮は国民を統制する道具として食料を使っている。当局が政治体制の存続に不可欠と考える者を、犠牲にしても構わないとみなされた者よりも優先する。
47 この論理に従って、困窮している者から食料を没収及び奪取し、他のグループに食料を供給している。国家は食料へのアクセス及び配給に関して、出身成分(songbun)を基礎にした差別を行っている。また、平壌など国内の一部の地域には特権を与えている。さらに、北朝鮮は最も脆弱な人々のニーズを考慮していない。調査委員会は特に、子供たちの継続的かつ慢性的な栄養失調状態及びその長期的な影響について懸念を抱いている。