ということは、金正恩氏の偶像化が問題視されたとは思えない。
それよりも筆者は、公演のなかで、核や長距離弾道ミサイルを賞賛する演出が中国側を刺激し、それに北朝鮮が反発したという見方に注目する。
北朝鮮、いや金正恩氏としては、長距離弾道ミサイルを賞賛する演出は必要不可欠だったと思われる。なぜなら、モランボン楽団公演初日の12月12日は、北朝鮮が長距離弾道ミサイル「銀河3号」の発射を成功させた記念すべき日だからだ。
今から3年前の2012年12月12日、北朝鮮は中国や米国をはじめとする諸外国の警告を無視して、長距離弾道ミサイル「銀河3号」の発射を強行した。翌年のモランボン楽団の新年公演では、バックスクリーンに流されたミサイル発射のシーンに、観客はスタンディングオベーションで応え、会場はお祭り騒ぎになった。