北朝鮮では、施設の老朽化や安全設備の不備で様々な事故が起きている。

2010年11月30日、両江道(リャンガンド)白岩(ペガム)郡では、坂を登っていた急行列車が脱線し谷に転落、数百人が死亡した。同年12月11日には同じ路線で貨物列車が脱線し、80人以上が死傷する事故も起きた。

平壌開城高速道路の建設現場では橋が崩落、500人以上が死亡した。一方で、金正恩氏の誕生日プレゼントを積みすぎて貨物列車が脱線するという、笑うに笑えない事故も起きている。

ガソリンに引火して大惨事

2007年には、石油パイプラインの事故で少なくとも110人が死亡する悲惨な事故が起きた。その詳細をデイリーNKの内部情報筋と、対北朝鮮援助団体「いい友達」が伝えている。

事故が起きたのは、2007年6月9日、平安北道(ピョンアンブクト)宣川(ソンチョン)郡の仁岩(イナム)里8班でのことだ。

近隣のピヒョン郡にある白馬烽火化学工場からガソリン200トンが、パイプラインを通じて平安南道(ピョンアンナムド)の大同(テドン)郡に送られていた。しかし、仁岩里付近でバイプラインが壊れて、ガソリンが吹き出してしまった。

これを見ていた農民たちは、次の瞬間、意外な行動に出る。一斉に、バケツを手に駆け寄ってガソリンを汲みはじめたのだ。誰ひとりとして、当局に通報しようとしなかった。それもそのはず、この時のガソリン1リットルの価格は、2500北朝鮮ウォン。

当時、コメ1キロは700~800北朝鮮ウォンで、高騰を続けていた。大儲けして、苦しい暮らしから抜け出したい一念で、農民たちは必死だった。その最中に事故が起こった。

突如、ガソリンに火が付き、大爆発が起きた。農民たちは、逃げる間もないままに次々に炎に飲み込まれていった。原因は定かではないが、現場の一人がタバコを吸っていたのかもしれない。

農村支援戦闘に駆りだされていた住民たちが、鎮火作業に当たったが、火の手の勢いは収まらなかった。近隣の新義州(シニジュ)市の当局は、大々的に動員令をかけて、工場、企業所、機関の男性たちが動員され、鎮火作業に当たった。

ガソリンを止めて、パイプラインの中まで水を入れて鎮火作業を続けた結果、翌朝になってようやく火は収まった。現場からは110体以上の遺体が収容されたという。長時間、焼かれたせいで、もはや原型をとどめておらず、真っ黒な炭の塊があたり一面にゴロゴロと転がっていて、地獄絵図そのものだった。

    関連記事