北朝鮮の経済関連の官僚、専門家、ビジネスマン12人が、シンガポールで短期間のMBA研修を受けていることが明らかになった。米国のワシントン・ポスト紙が伝えた。

彼らは、シンガポールのNGO「チョソン・エクスチェンジ」が主催するミニMBAコースで、世界各国の専門家や実務者を講師に迎え、会計、財務、人員管理などを3ヶ月学んだ。今回は12人だけだが、今までシンガポールで同様のコースを履修した人は100人、北朝鮮国内で履修した人まで含めると1000人に達する。

シンガポール、マレーシアの企業も見学した。両国とも北朝鮮国籍者がノービザ渡航できるため、手続きが比較的楽に済む。

「医療観光」を提案

ワシントン・ポストのアンナ・ファイフィールド記者は、参加者のフルネームを公開しない条件で、実践形式の投資誘致プレゼンテーションと討論の授業への参加が認められた。 元山開発区会社のカンさんは、元山の観光開発に関するプレゼンテーションを行った。北朝鮮当局は最近、空港やホテルなどを整備して外国人観光客の誘致に乗り出しているが、世界的に注目を集めている「メディカル・ツーリズム」(医療観光)のオプションがないことに注目した。

そこでカンさんは、マッドスパを利用したクリニックを提案。神経、消化器、気管支、関節の病気に効果があるとされる泥に体を浸し、治療を行うというものだ。さらにはヨットハーバーと釣り堀、250人を収容できるホテルの建設を提案し、200万ドルの投資を訴えた。

それに対して、シンガポールの学生からは北朝鮮の人が思いつかないような質問が飛んだ。「韓国から近いが、韓国人は訪問可能か?」「1年のうち8ヶ月は、寒くて海に入れないらしいが、その間クリニックはどう営業するのか?」「若い人はWi-Fiのないところには行きたがらないが、ネット環境は?」などだ。

投資誘致を本格化へ

カンさんが具体的にどのように答えたか、記事では触れていないが、どの発表者も出来る限りの情報を提供し、質問に答えていたとのことだ。 来年7月に開催される朝鮮労働党第7回大会で、北朝鮮が部分的な改革開放政策を受け入れるのではないかという観測が出ているが、当局が多くのエリートに経営を学ばせていることは、その見方を裏付けるものと言えよう。

インフラの未整備、面倒な出入国の手続き、ネットが使えない、私有財産の保護が明確に規定されていないなど、北朝鮮が外国の投資を呼びこむには課題が山積している。

しかし北朝鮮は最近、羅先(ラソン)経済貿易地帯の総合開発計画について、投資誘致金額や各種法制を含む詳細を初めて公表。今後、投資誘致への取り組みを本格化する姿勢を見せ始めている。

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