BCL(Broadcasting Listening / Listeners)という言葉を聞いたことがあるだろうか。40代以上の人なら聞き覚えがあると思われるが、海外の短波放送を愛聴するリスナーが、受信レポートを送り、その返事にきれいなベリカードを送り返してもらう。70年代に大流行した趣味の一つだ。

2012年の北朝鮮のカレンダー
2012年の北朝鮮のカレンダー

電力不足で印刷工場も稼働できず

朝鮮中央放送に手紙を出すと、必ずと言っていいほど上等なパンフレットや雑誌、そして12月にはカレンダーまで送られてきた。ところが、今年は海外配布用のカレンダーの制作と発送が大幅に遅れていると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。原因は、紙と電力の不足だ。

中朝国境で貿易を営む関係者は語る。

「毎年、年末になると友人から頼まれて、別の貿易業者を通じて数十部の北朝鮮カレンダーを入手している。しかし、今年はその業者から『12月の中頃まで待ってくれ』と言われた。電力不足で北朝鮮国内の印刷工場が稼働できず、中国の業者にアウトソーシングしたからだ」

貿易業者は「北朝鮮の電力事情が、劣悪だということは誰でも知っているが、印刷工場までまともに稼働できない状況になっているとは信じがたい」と驚きを隠さない。

また、カレンダーには非常に上質の紙を使われているが「北朝鮮では到底作れるとは思えない」(情報筋)レベル、つまり海外からの輸入品だという。

北朝鮮は、10月10日の朝鮮労働党創建70周年の軍事パレードに20億ドル(約2375億円)を投じたとされるが、外貨を使いすぎて紙の輸入が滞っている可能性も考えられる。来年7月の朝鮮労働党第7回大会の準備もあり、外貨不足に拍車が掛かりそうだ。

電力不足は、カレンダー製作だけでなく、他の分野にも悪影響を与えている。

別の貿易業者によると、北朝鮮のDVD製造販売を一手に取り仕切っている「木蘭ビデオ」のソフトも、電力不足で国内での製造ができず、中国の業者に依頼して制作している状況だという。

水力発電に電力の多くを依存している北朝鮮だが、元々降雪量が少ない気候のため、毎年冬になれば深刻な電力不足に襲われる。平壌市民によると、平壌中心部で1日3時間、郊外では1~2時間しか電気が来ない状態となり、ポンプが稼働できず、水道も制限給水が行われている。

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