「デザインが格好いい」という理由で、ヤマハ、スズキ、ホンダなどの高価な日本製バイクは「富の象徴」だった。中国製より燃費が悪くても、新興富裕層のトンジュ(金主)がこぞって購入したという。
さらに、トンジュの子弟たちが、自分たちを誇示するためにバイクに乗り始めた。彼らは、昼夜問わず騒音をまき散らして町中や村中を爆走。一般住民たちからクレームが出るほどだった。まさに、北朝鮮版「暴走族」と言えよう。
既に、平壌市をはじめとする主要都市では、栄誉軍人に許可された荷物を運ぶ3輪バイクや一部特定機関の業務用を除き、個人が乗るバイクは、見かけなくなったという。そして、没収されたバイクは「協同農場に送られた」と情報筋は語る。
消えゆくバイカーに嘆く乙女たち
「協同農場に送られたバイクは稲運び用として改造されたり、農場幹部が乗る。しかし、ガソリン代もかかるので使い物にならない」