北朝鮮が、朝鮮半島の東海岸沖合、つまりは日本海上に航行禁止区域を設定した。韓国の聯合ニュースによれば、期間は11月11日から12月7日までで、面積はかなり広い範囲に及ぶ。

その目的としてまず疑われるのが弾道ミサイルの発射実験だが、他にも様々なことが想定できる。韓国からの情報によれば、北朝鮮は8月に韓国との間で軍事的緊張が高まった後、毎月日本海に航行禁止区域を設定し、対艦ミサイルや多連装ロケット砲などを海岸部に展開する訓練を行ってきたという。

多連装ロケットと聞いて思い浮かぶのは、北朝鮮が朝鮮労働党創建70周年(10月10日)の軍事パレードで公開した新型の300ミリ多連装ロケットだ。これは、北朝鮮が米国を狙って開発してきた弾道ミサイルと異なり、完全に「韓国向け」の兵器である。さらに多連装ロケットは「面」を制圧する兵器であるため、広い範囲の航行禁止区域を設定する必要がある。

さらに、一連の動きは単なる「兵器実験」のためではなく、より過激な行動の準備ではないかという気もする。

北朝鮮は8月の軍事危機でまんまと韓国との「チキンレース」に敗れ、金正恩氏の権威も著しく傷ついた。韓国に対してこの「借り」を返すことなしに、独裁を維持するのは難しい――正恩氏がそのように考えても、何ら不思議ではないのだ。

実際、過去にも似たようなことがあった。

北朝鮮海軍は1999年から2009年にかけて、韓国海軍と3回にわたり海戦を繰り広げ、続けざまに敗北。大量の戦死者を出した。

ここで金正日―正恩親子が取った措置が、前線に朝鮮人民軍きっての「闘将」、金格植(キム・ギョクシク)氏を投入することだった。同氏はその「期待」に応え、韓国軍艦艇を撃沈したり韓国領土を砲撃したりの暴挙を繰り返し、南北の攻守逆転を主導した。

北朝鮮は最近、航行禁止区域の設定を繰り返すのと合わせ、韓国軍と対峙する前線の軍団長も交代させている。もっとも、正恩氏がささいな理由で側近たちの処刑を繰り返しているせいで、軍も行政も人材難に陥っているとの見方もあり、果たして金格植氏ほどの大暴れができる軍人が残っているかは未知数だ。

それも見方を変えれば、正恩氏が有能な部下からの合理的アドバイスを得られず、暴走してしまうリスクを高めているとも言える。

北朝鮮の軍事動向は、引き続き注視が必要だ。

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