パリ同時多発テロに、世界が震撼している。日本から地理的に遠く離れた地での出来事ではあっても、決して対岸の火事ではない。

武装勢力「イスラム国」(IS)はすでに日本人の殺害指令を出しているし、それに従ったと見られる事件で犠牲者も出ている。

また、お隣の韓国では、ISシンパと見られる外国人が、手製爆弾の材料を不法に持ち込もうとして摘発される出来事があった。

日本人観光客が好んで訪れる東南アジアにもIS系の過激派はいるし、もはや世界のどこにいようとも、テロとは無縁ではいられない。

この事実は同時に、イスラム教徒たちが、世界の様々な場所で危険にさらされていることも意味している。

テロの狙いのひとつは、宗教間や民族間の「葛藤」を煽り、その中で強烈な「憎悪」を作り出すことにある。そして、それを残忍なテロに悪用し、「葛藤」と「憎悪」を拡大再生産するのだ。

だからテロと向き合うに当たっては、フランスのオランド大統領が呼びかけたように、冷静さを保つことが重要なのである。

しかし残念なことではあるが、テロによる惨事をむしろ「追い風」に変えてしまうような排外主義が、世界各地に拡散してしまっているのも事実だ。

ネオナチ的な組織が猛威を振るう欧州のみならず、韓国にもそういったグループがいる。

このところ、韓国社会を悩ませているのが、イスラム教や性的少数者にヘイトスピーチを投げつける保守プロテスタント勢力だ。

その極端に排外的な布教活動は日本を含む海外にも及んでおり、2006年にはアフガニスタンにおいて現地の人々の猛烈な反発を買った挙句、タリバンによる拉致・殺人にまで発展。その余りの無謀さに、韓国世論があきれ果てたほどだ。

こうした極端な動きは韓国社会のごく一部に限られるが、テロを操る者たちの目には、これこそまさに相手の「弱点」として映るはずだ。

テロと戦うということは、こうした排外主義が社会に存在することを許さないということでもある。

もちろん、それぞれの個人が、自分の身を守ることも大事だ。被害が少なければそれだけ、社会が寛容さを示す余地も増す。

日本の公安当局は、日本人観光客が好んでいく地域などについてテロ動向をレポートにまとめている。

海外へ頻繁に出かける人は、そうした情報に敏感になっておく必要があるだろう。

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