北朝鮮の住民は、10月10日の朝鮮労働党創建70周年記念行事に労働力、資金、物品など様々な供出を強いられ、心身ともにヘトヘトになっている。

行事も終わり、ようやく一息つけるかと思いきや、今度は来年1月の青年同盟大会と5月の朝鮮労働党第7回大会に向けて「カネ出せ、モノ出せ」攻撃を受けていると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

庶民から搾取する北朝鮮当局

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、清津(チョンジン)市の輸城川(スソンチョン)階段式発電所で発電された全電力は軍需工場に回されていたが、中央からの指示によって来年から一般家庭に回されることになったという。

この処置は人民班(町内会)の会議で伝えられ、住民たちは一瞬喜んだが、具体的な内容が明らかにされると、すぐに怒りと失望に変わる。送電時間は1日20時間だが、テレビ1台と照明1つしか使ってはならないからだ。

さらに、送電設備を改造しなければならないのだが、費用5万5000北朝鮮ウォン(約825円)を2回に分けて払えという。コメ10キロ分に相当する額で、住民にとってはかなりの負担になる。

北朝鮮当局の本当の狙いは「人民愛を実践しているから」という名目で住民から費用を徴収、つまり体のいい搾取といっても過言ではない。

一方、両江道(リャンガンド)の住民は「北朝鮮当局が、白頭山観光鉄道と恵山市内のウィヨン地区のマンションの建設費を充当するためにカネを払えと矢のような催促をして住民たちは苦しめられている」と語った。

また、今まで「労働党創建70周年に使う」という名目で強いられていた強制募金が、「労働党第7回大会に使う」との名目で続けられているという。いずれも青年同盟大会と労働党7回大会の際に成果として示すためだ。

情報筋は「こんなやり方を続けるのなら、もう人民生活の向上など要らない」「党大会の名目で、住民の犠牲を強い続けば、そのうち大きな抵抗に遭うだろう」と吐き捨てるように言った。

北朝鮮当局がこのように住民からカネやモノを絞りとる方式を続けるのは、北朝鮮に税金の制度がなく、税収が全く存在しないからだ。こうした問題は、北朝鮮特有のものではなく、中国にも存在する。

中国では「乱収費問題」と言われているが、地方政府が法的根拠のない税金や費用を勝手に徴収するのだ。

例えば、学校の設備の改修に必要だとして保護者から費用を徴収する。道路に勝手に料金所を作って料金を徴収する。中にはホテルの宿泊の際に地下鉄建設費を徴収する、というように何かと理由をつけて金を徴収するのだ。

政府の権限が強すぎること、租税制度や私有財産権が確立していないことがこの背景に上げられるという。また、農村部においては、少ない給料では幹部の生活がなりたたない、公共施設の運営資金が足りないということも原因になっている。

ただし、中国では「乱収費」をめぐって農村地域でのデモや暴乱が頻発し、中央政府が解決に乗り出している。この点に関して中国と北朝鮮は違うようだ。

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