世界で最も歌われている歌と言えば誕生日を祝う「ハッピーバースデートゥーユー」だろう。日本では英語の歌詞をそのまま歌うが、韓国では韓国語に変えた歌詞で歌う。

金カップ体育人総合食料工場で作られたケーキの数々(画像:朝鮮中央テレビキャプチャー)
金カップ体育人総合食料工場で作られたケーキの数々(画像:朝鮮中央テレビキャプチャー)

東亜日報のチュ・ソンハ記者によると、北朝鮮でも「ハッピーバースデートゥーユー」は知られているという。そのきっかけは北朝鮮映画のなかで描かれた日本の風景だった。

日本が伝えた「ハッピーバースデー」

「民族と運命」という映画シリーズのなかで、1995年に製作された「帰化した日本人女性編」がある。

映画のなかで主人公が日本での暮らしを回想し、子どもの誕生日パーティにケーキにロウソクを立ててハッピーバースデートューユーを歌うシーンが登場するのだ。これ以降、歌は急速に広がったという。

当時はケーキは庶民の手には入らなかったため、歌を歌って誕生日を祝うだけだったが、「最近では金持ちも庶民も、若者も大人もバースデーケーキにロウソクを立てて歌をうたう誕生日パーティが一般化しつつある」と、語るのは平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋だ。

「ハッピーバースデートゥーユーと歌ってローソクの火を吹き消す。周りはクラッカーを鳴らしながら盛大に誕生日を祝うが、韓流ドラマや映画の影響だ」

ケーキやロウソクで誕生日を祝う習慣は、2000年代初めから幹部やトンジュ(金主、新興富裕層)の間で広がったが、これに目をつけたのが北朝鮮の商人たちだ。

2000年代初め頃まで、ケーキと言えば海外から輸入するか、平壌市内の高級レストランに注文するしか手に入れる方法がなかった。しかし、バースデーケーキに需要があると見た北朝鮮の商売人が、様々なケーキを作るようになった。

ケーキを買うにはまず「ケーキ売ります」との看板を掲げた店に行く。写真入りのカタログを見て注文する。値段は3万~5万北朝鮮ウォン(約450円~750円)だが、追加料金を支払えばクリームで文字を描いてくれたり、変わったデザインにしてくれたりもする。市場にも、西洋風のものに似せたケーキを作って売る製菓業者がいる。

こうした習慣が広がることを北朝鮮当局は「非社会主義的だ」として、苦々しく思っているようだ。

中学、高校では青年同盟の指導員が週に1回は「バースデーケーキにロウソクを立てるな」「ハッピーバースデートゥーユーと歌うな」などと警告を出すというのが、そんなバカバカしいお小言などに耳を傾ける若者はいない。彼らはもはや「ケーキ、ロウソク、歌抜きでは誕生日を祝う意味がない」と考えているようだ。

一方、自分の誕生日を祝えない人々もいる。それは4月15日と2月16日生まれ、つまり金日成氏と金正日氏と同じ誕生日の人だ。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、最高尊厳と同じ誕生日はありえないという理由で、誕生日を無理やり変えさせられるとのことだ。

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