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さらに彼ら「老兵」は、北朝鮮の一般的な高官と比べても異質な存在だった。

あの国で、独裁者に直言するなどというのは自殺行為だ。しかし老兵たちは、金正日―正恩親子が頼らざる得ないものを持っていた。強大な大日本帝国やアメリカ合衆国と渡り合った経験と、そこから発する胆力である。

例えば、金正日氏の特使としてホワイトハウスに乗りこんだ趙明禄元次帥がいる。

趙氏は抗日パルチザンとの関係が確認できないものの、世代としては革命第1世代と近く、北朝鮮の軍人の中でも特殊な経歴で知られている。1960年代、金日成氏により極秘裏にベトナム戦争へ派遣され、米軍と戦っていたのである。