北朝鮮、中国、ロシアの3カ国が国境を接して向かい合い、日本海に開けた「豆満江三角洲」。1991年の国連開発計画の提唱に基づき開発が始まったが、事業は順調に進んでいるとは言えない。

中国琿春市の防川から見た北朝鮮の羅先市 ©Roman Harak
中国琿春市の防川から見た北朝鮮の羅先市 (画像:Roman Harak)

その後も、開発の話が出ては消え、出ては消えを繰り返してきたが、中国政府が「豆満江三角洲」の観光事業を重点対象に選定した。今度こそ「三度目の正直」となるのだろうか。

高速鉄道開通でより近く

「豆満江三角洲国際観光区」は豆満江を中心に、北朝鮮の羅先(ラソン)、中国の琿春、ロシアのザルビノを開発し、ノービザ観光を実現するものだ。

中国の朝鮮語紙「吉林新聞」によると、第1段階は琿春の開発から始まる。3カ国が国境を接する防川に民俗村、キャンプ場、免税店など建設し、遊覧船を運行する。また、ロシアと国境を接した地域には国際通商区を建設する。そして第2段階では、北朝鮮側に観光地区を造成するというものだ。

この計画は、先週開かれた中国共産党の第18回中央委員会第5次全体会議で、重点対象に選定された。具体的な事業計画は今年末までに決定し、来年から建設を始める。

中国は、1860年の北京条約で現在のロシア沿海州に当たる領土を失い、国境線を15キロ内陸に後退させざるを得なくなった。また、戦前には行き来が頻繁だった中国と朝鮮も、戦後には往来が減ってしまった。交通の要衝だった吉林省琿春は、辺境中の辺境になってしまった。

しかし今年9月、ついに省都の長春から琿春を結ぶ高速鉄道が開通した。これまでバスで8時間かかっていた距離を、わずか3時間で移動できる。国慶節の連休には観光客が押し寄せ、市政府は病院や老人ホームの空きベッドを観光客に無料であてがい、連休の観光シーズンを乗り切った。

荒涼とした大地の広がる中国東北地方の中で、琿春を中心とした延辺は緑も雪も多い上でに、海も見えるという観光資源に恵まれた地域だ。実際、この地域には3つのスキー場があり、多くの観光客が訪れている。

今回の観光特区事業に北朝鮮が積極的に参加すれば、さらに盛り上がるだろう。万が一、北朝鮮が消極的な姿勢に転じたとしても、中国国内の観光需要に応えるだけで、成果が期待できそうな話だ。

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