北朝鮮が10月、朝鮮労働党創建70周年に合わせ、故金日成主席と故金正日総書記を主人公とした小説を相次いで出版した。

小説はいずれも、外交や内政の難局を、両氏が巧みな政治手腕で打開する様子を描いたプロパガンダ作品。同様の小説は北朝鮮で数多く出版されており、金日成・正日親子を「ヒーロー」として祭り上げるため史実から大きく逸脱した内容となっているが、舞台となった時代の空気や北朝鮮の情勢観を読み取る上では、ある程度の資料的価値があるとされている。

10月3日に発表された『尊厳』(パク・テス著)は、1968年に起きた「プエブロ号事件」が題材。北朝鮮の軍が米海軍の情報収集艦を拿捕。両国の軍事的緊張が高まる中、「金日成主席が鉄の胆力と度胸、天才的な知略と指導力」を発揮する様が描かれていると、10月3日発朝鮮中央通信は伝えた。

国際的孤立も描写か

『尊厳』は、金日成氏を偶像化するため、1972年に刊行が始まったシリーズ「不滅の歴史」の最新作。1990年代の後半からは金正日氏が主人公の「不滅の嚮導(きょうどう)」シリーズも刊行されており、作品数は合わせて数十に及ぶ。

10月31日には、後者の最新作である『朝は輝け』(リム・ボンチョル作)の出版も発表された。

こちらは、1980年代末から2010年までの経済および科学技術開発がテーマ。東欧社会主義圏が崩壊して北朝鮮が孤立する中、金正日氏の指導力により「CNC(コンピュータ数値制御)工作機械」の独自開発に成功する。

北朝鮮は近年、CNCを科学技術力を誇示するための宣伝材料として多用しているが、実際の技術レベルについてはよく分かっていない。

『尊厳』と『朝は輝け』の発表を報道した朝鮮中央通信の記事全文は次のとおり。

朝鮮で長編小説「尊厳」を出版

【平壌10月3日発朝鮮中央通信】朝鮮労働党創立70周年に際して4・15文学創作団が、叢書「不滅の歴史」の中で長編小説「尊厳」(パク・テス作)を創作して出した。

同小説は、金日成主席が米帝の反共和国圧殺策動を断固と粉砕してチュチェ朝鮮の自主権と尊厳を守り抜いた業績を感銘深く形象化している。

チュチェ57(1968)年1月、朝鮮人民軍海兵たちが共和国領海に入ってきて偵察行為を働いていた米帝の武装情報収集艦「プエブロ」号をだ捕した時期を時代的背景としている。

米帝国主義者は武装情報収集艦がだ捕されると、片意地を張って艦船と艦船員を送還しなければ全面戦争を起こすと威嚇、恐喝する。

金日成主席は、米帝の「報復」には報復で、全面戦争には全面戦争で応えるという朝鮮労働党と軍隊、共和国政府の立場を闡(せん)明し、すべての軍隊と人民を祖国の尊厳を守り抜くための決戦へと力強く決起させる。

小説は、銃声・砲声なき対決戦を勝利へと導く金日成主席が鉄の胆力と度胸、天才的な知略と指導力で全人民をチュチェの戦争観点で武装させ、軍事と外交部門に対する指導とともに、人民の生活向上、経済建設を中断することなく推し進めるようにしたことについて幅広く、深く叙述している。

作品では、朝鮮の軍隊と人民を百勝の一路へと導いていく金正日総書記の偉人像を感動深く形象化している。―――

長編小説「朝は輝け」を創作

【平壌10月31日発朝鮮中央通信】最近、4・15文学創作団で叢書「不滅の嚮導」の中で長編小説「朝は輝け」(リム・ボンチョル作)を創作した。

小説は、共和国創建40周年に際して全国の人民が党中央委員会の手紙に心から接して第3次7カ年計画を成功裏に遂行するためにるつぼのごとく沸き返っていた1980年代末から2010年までの歴史的時期を背景としている。

金日成主席と金正日総書記は、早くも国の機械製作工業を新たな高い段階へ引き上げるという戦略的方針を打ち出し、その実現のためにあらゆる心血を注いだ。

しかし、東欧社会主義諸国の崩壊と朝鮮に対する帝国主義者の悪らつな経済封鎖策動、朝米核対決と相次ぐ自然災害によって始まった苦難の行軍、強行軍により国の経済建設は残酷な試練にぶつかるようになる。

厳しい試練の時期、総書記は国の経済的潜在力を総集中して機械工業を新たな高い段階へ引き上げる大勇断を下す。

歴史の強行軍の道に出た総書記は、鉄の意志と胆力、犠牲的な愛国献身によって朝鮮式CNC化の新しい歴史、最先端突破戦の新時代を開く。

この日々、革命同志たちに永遠なる生を与え、平凡な科学者、技術者を最先端突破戦の先鋒に推し立てる感動深い物語をはじめ、総書記の革命的同志愛の世界を雄弁に見せる胸熱い場面が小説に形象化されている。

いかなる困難の中でも、総書記の指導に忠実に従う朝鮮人民の純潔な精神世界も実感のわくものに叙述している。---

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