北朝鮮の全土に広がる自由市場「チャンマダン」。韓国の国家情報院によると、北朝鮮住民はチャンマダンが広がる現状について「わが国には党(朝鮮語でダン)がふたつある」というジョークを語っているという。

赤で囲んだ部分が北朝鮮羅先市場(画像:Google erath)
赤で囲んだ部分が北朝鮮羅先市場(画像:Google erath)

北朝鮮全土に406カ所の民間市場

一つ目の「ダン(党)」とは、北朝鮮の執権政党で国家を支配する朝鮮労働党(チョソンロドン“ダン”)。そして、もう一つが冒頭に述べた「市場(ジャンマ“ダン“)」。二つの言葉の末尾のダンを引っかけながら、政治を支配する「ダン(労働党)」と経済を支配する「ダン(自由市場)」という意味合いを込めたジョークだが、これが極めて的を射たジョークであることを衛星写真が証明する。

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は、米国ジョンズ・ホプキンス大学韓米研究所のカーティス・メルビン研究員と共同で北朝鮮の衛星写真を分析。その結果、北朝鮮当局の許可を受けて合法的に運営されている「総合市場」が406個に達すると24日に報じた。

メルビン研究員が既定する合法的な「総合市場」とは次のような条件を満たす。(1)建物がある。(2)人民保安局に管理されている。(3)商売人が場所代(テナント料)を出して合法的に商売をする。 2010年に衛星写真を分析した際、この条件を満たす総合市場は約200個だったが、5年間で2倍以上増加したことになる。

また、最近の衛星写真から、黄海北道(ファンヘブクト)沙里院(サリウォン)と羅先(ラソン)市経済貿易地帯に新しくできた市場や、江原道(カンウォンド)と平安道(ピョンアンド)などにも新しい総合市場が確認されており、北朝鮮当局が公式市場の拡大、建設事業を継続して進めていると見られる。

カーティス・メルビン研究員はRFAに「総合市場で北朝鮮住民が出すテナント料は、地方政府の収入源だ。現在の総合市場の数は406個だが、裏通りや路上の違法な市場を含めるとまで合わせれば、その数ははるかに多くなる」と語った。

メルビン研究員は、合法的な総合市場「シジャン」と、路地や街角など不正な場所での商活動を「チャンマダン」と意味するというが、北朝鮮住民はモノを買う場所を「自由市場(チャンマダン)」と呼ぶ。ヤミ市場と訳される場合があるが、彼らは合法、違法の区別をしているわけではない。

金正恩第1書記が、最高指導者になって以後、総合市場は着実に拡大され、新たに建設されたという。昨年と今年も平安南道(ピョンアンナムド)安州(アンジュ)市の南興(ナムン)市場、江原道カルマ市場、セギル市場をはじめ、平安北道(ピョンアンブクト)大館(テガン)郡、咸鏡南道(ハムギョンナムド)价川(ケチョン)などにも、新しい市場が作られたとメルビン研究員は伝える。

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