北朝鮮の厳しい電力難についてはデイリーNKジャパンでも繰り返し報道しているが、電力発電量の伸びの推移も非常に低いことが米国エネルギー情報庁の資料によって明らかになった。

資料によると、2012年の北朝鮮の電力発電量の合計は187億5700万キロワットで、前年2011年と比べてわずか0.13%の増加だった。

他国と比べると、カリブ海のハイチやアフリカのウガンダはGDPが1800ドル前後で北朝鮮と同等の経済規模だがそれぞれ21%、22%増加。北朝鮮の伸び率が非常に低いことがわかる。

ちなみに日本の電力発電量は9664億2600万キロワット、韓国は4996億7200万キロワット、人口が北朝鮮(約2500万人)と比較的近い台湾(約2300万人)は2336億9600万キロワットだった。 人口700万で北朝鮮の3分の1以下であるタジキスタンは175億2900万キロワット。北朝鮮の発電量がいかに少ないかがわかる。

世界経済フォーラムのマイヤー研究員は、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に対して「北朝鮮で電気をまともに使えるのは全人口の26%に過ぎず、地域差が非常に激しい」と述べながら、北朝鮮の電力生産量の71%が水力発電、29%が火力発電だと付け加えた。

このエネルギー構成の悪さが北朝鮮の電力難の原因の一つだとデイリーNKではこれまでも指摘している。北朝鮮も問題点と課題を自覚しているのが、既存の発電に加えて自然再生エネルギーを導入している。

RFAによると、北朝鮮は今年中に欧州に研修団を派遣して、風力発電の技術を学ばせる計画があるという。北朝鮮での風力発電機設置を支援するスイスの支援団体は、これまでに黄海北道に300ワット、2キロワット規模の風力発電機各1基を設置しており、2キロワット風力発電機の設置が完了次第、研修団を欧州に招く計画だ。

では、実際に自然再生エネルギーは北朝鮮の電力難にどれほどの効果をもたらすのだろうか。

神奈川県相模原市にあるノジマメガソーラーパークは、7億2000万円を投資して建設された。年間想定発電量は約178万キロワット時で、一般家庭約500世帯分の年間使用電力量に相当するという。

北朝鮮は、10月10日の朝鮮労働党創建70周年軍事パレードに20億ドル(約2375億円)を投じたとされるが、この予算でノジマメガソーラーパークと同規模の太陽光発電所が330ヶ所も作れる計算になる。

国際エネルギー機関(IEA)の資料によると、北朝鮮の人口1人あたりの電力消費量は654キロワット時、日本の7753キロワット時の約12分の1だ。韓国統計庁の調べによると、北朝鮮の全世帯数が588万7000世帯(韓国統計庁調べ)であることから、194万7000世帯、つまり約3分の1の電力が賄えたことになるのだ。

一方、金正恩第1書記は、白頭山先軍青年発電所など電力難解消にはそれほど役に立たないが「絵になる」事業ばかりを進めている。確かに発電所の煙は「絵」になり経済成長の象徴のように見えるが、安定供給と経済発展につながる自然再生エネルギーにもっと力を入れた方が、よっぽど金正恩政権の安定に繋がるだろう。

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