それでも北朝鮮が、こうした要請をせざるをえないのは、中国から金正恩氏に都合の悪い情報が流入することを警戒しているからだ。
中国を訪れる北朝鮮住民は日増しに増えている。仮に現地のインターネットで「元帥様(金正恩氏)が中国で揶揄されている」という現実を知り、帰国後、中国における金正恩氏の実際の評価が国内で拡散することは、偶像化を進めるうえで大きな障壁となる。
一時期、北朝鮮当局は金正恩氏の実母「高ヨンヒ」に対する偶像化を進めたが、頓挫したことがある。これは、日本を発信源にして「高ヨンヒが大阪生まれの在日朝鮮人」という北朝鮮にとっては誠に都合が悪い情報が北朝鮮国内に流入し、拡散したからだった。
記憶に新しいところでは、8月に韓国が11年ぶりに「対北朝鮮拡声器放送」を再開した際、北朝鮮は中止しなければ軍事行動も辞さない強硬姿勢で猛反発。外部情報の流入が金正恩体制の急所を突いていることを知らしめた。
金正恩氏に対する情報だけでなく、韓流ドラマや外国映画などの流入に北朝鮮当局が警戒していることは、英テレグラフ(The Telegraph)が公開した北朝鮮の公開裁判の動画からも伝わってくる。
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