北朝鮮で、「トンジュ(金主)」と呼ばれる新興富裕層の存在感が増していることは、これまでの記事でも指摘した。
ヤミ市場などでの商売で資金を蓄えたトンジュたちは、主に不動産や運輸業への投資に熱心だが、ほかにも様々なビジネス領域に活動の場を広げている。
たとえば、建設現場に欠かせない砂が平壌市内を流れる大同江でいくらでも取れることに気づいたトンジュたちは、砂採取ビジネスに進出。国営工場の給料だけではとても食べていけない労働者たちは彼らの誘いに応じ、工場の仕事をほったらかしにして砂採取の現場で働いているという。
こうした大型事業以外にも、トンジュの周辺では、たとえば民家の残飯を養豚場の飼料として販売するビジネスが生まれている。彼ら金持ちは食べるものの栄養価も高いため、残飯も「高級飼料」として高価で取引されるというわけだ。