北朝鮮は10日、朝鮮労働党創立70周年を記念して行ったパレードに、開発動向の注目されていたふたつの兵器を登場させ、その姿を公開した。
ひとつは、韓国軍がとくに警戒している300ミリ多連装ロケットだ。射程が200キロを超え、韓国・ソウル以南の空軍基地を攻撃可能とされるものだ。ロケットの弾道が低く、弾体の小さなこの兵器は、日米や米韓が進める弾道ミサイル防衛の対象外で、現時点では迎撃が不可能とされる。
軍事パレードの様子を放映した韓国のテレビ番組でも、解説者が「海の向こうを狙う大陸間弾道ミサイル(ICBM)などより、わが国にとってはこっちの方が問題」などと話していた。
一方、米国にとっては、ICBMのKN-08の方が問題だろう。
KN-08は2012年、故・金日成(キム・イルソン)主席生誕100年を祝う4月15日の軍事パレードで登場。翌年の朝鮮戦争休戦60周年の式典(7月27日)でも披露された。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面その際にはミサイルの先端がとがった形をしていたのだが、今回は形状に変化が見られた。
ミサイルの先端が丸みを帯び、弾頭の容量が大きくなったように見受けられるのだ。このように改良する目的は、より多くの爆薬を詰め込むためか、小型化した核弾頭を搭載するためである可能性がある。
パレードを実況中継した北朝鮮の朝鮮中央放送は、「多種化、小型化した核弾頭を搭載した戦略ロケットが敵の牙城を火の海にする報復の意志を持っている」などと紹介していることから、改良型の
KN-08を登場させた意図が、核の小型化を誇示するためであるのは間違いないだろう。もっとも、KN-08の脅威度については、以前から異なるふたつの見解が存在する。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面米軍高官らがしきりに「あれは危ない」との発言を繰り返しているのに対し、韓国側は「まだ試射も行われていないのに……」と慎重な姿勢を取っているのだ。
こうした状況について、韓国メディアの中には、「米国はTHAAD(サード=高高度ミサイル防衛体系)の韓国配備を進めるため、いたずらに危機を煽っているのではないか」と見る向きがある。韓国の朴槿恵政権が、THAADの韓国配備を進めたい米国と、それを嫌う中国との間で板挟みになっているためだ。
北朝鮮の軍事パレードを見る視線は、韓国と米国、そして中国もそれぞれ微妙に異なっている。新たな安保法制をもって朝鮮半島情勢にのぞむ日本もまた、これから独自の視点を持つことになるだろう。