デイリーNKジャパンは、北朝鮮当局に対して第1にインフラ整備をすべきだと何度も提言している。インフラの不備が、経済発展の大きな足かせになっているからだ。

本サイトの提言に耳を傾けたわけではないと思われるが、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、北朝鮮当局が道路の拡張工事に乗り出した。

拡張工事が行われるのは、東海岸に面した咸鏡南道(ハムギョンナムド)の北青(プクチョン)と白頭山の麓の三池淵(サムジヨン)を結ぶ軍用道路。完成後は観光道路にする計画を立てている。

両江道(リャンガンド)の内部情報筋は「270キロ(Google mapによる)にも及ぶこの道路は、1992年に東海岸と内陸を結ぶ軍用道路という名目で作られたが、今では商用車の往来がほとんどだ」と語った。 口さがない住民たちは「最高指導者が中国に逃げる時に使う」と言っていたが、用途はさておき、道路状態は芳しくない。そこで2007年、三水(サムス)発電所の建設に動員されていた「6.18突撃隊」3万人が、2ヶ月をかけて大々的な補修工事を行った。

その幅9メートルの道路を、20メートルに拡張するという。計画通り完成すれば、片側2車線の高速道路並みだ。

道路は山と海を結ぶが、鬱蒼とした森に囲まれており、新たな観光開発に繋がることが期待できる。また、咸鏡南道(ハムギョンナムド)で生産された工業製品や水産加工品を内陸の両江道に運び、中国からの輸入品や両江道の林業製品を咸鏡南道に運ぶ産業道路の役割も果たすだろう。

様々な経済効果が期待されるが、周辺住民は、なぜか浮かない顔をしているという。 北朝鮮では、道路建設となると周辺に済む住民たちが労働力として駆り出される。当局は、秋の収穫を終えると春の種まきまで特にやることのない協同農場の人々を駆り出すにはもってこいの季節だと考えたのだろう。実際、工事の期間は10月末から3月末までとされている。

しかし、この地方は冬には氷点下30度を下回る。極寒の地で過酷な労働が予想され、肉体的に苦しいのはもちろんのこと、様々な労災が発生することは目に見えている。

両江道の住民は「党創建70周年記念行事の準備でクタクタなのに、今度は工事に借り出されるかもしれないと考えると不安でたまらない」と嘆く。医療施設が皆無に等しい山中で事故に遭えば、命を落とすことはほぼ確実だ。

多少の賃金は払ってでも、作業に慣れた建設労働者が工事をする方が、よほど安全で丈夫な道路ができるはずだが、資金不足で払う資金がないため、無料の住民の動員に頼らざるをえない。

北朝鮮が経済発展するためには、インフラ整備だけでなく、こういう悪習から脱却することも大きな課題といえる。

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