日本では、安保法の採決をめぐり安倍総理のポスターが落書きされたり破られる事件が相次いでいるが、北朝鮮でも政治ポスターの破損が相次いでいる。

新年の辞貫徹を強調する2014年の宣伝ポスター
新年の辞貫徹を強調する2014年の宣伝ポスター

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、金正恩第1書記は7月、に「政治ポスターを破損した者を厳罰に処せ」との指示を下した。

「7月に行われた代議員選挙の期間中に、選挙ポスターが破られる事件が相次いだことが、指示のきっかけだ」

こう語るのは、RFA慈江道(チャガンド)の内部情報筋だ。破られたポスターには、金正恩氏の顔などは描かれておらず、選挙日と「全員投票、全員賛成」のみ書かれているが、北朝鮮当局はポスター破損を、当局への重大な挑戦とみなしたようで、容疑者の摘発と厳罰を非公開で指示した。

選挙後、政治ポスターの破損事件は、しばらくは鳴りを潜めていたが、最近、再び増加しはじめた。両江道の内部情報筋によると、平壌郊外の平城(ピョンソン)で、9月9日の夜に「ポスター落書き事件」が3件も発生した。

ポスターには「9月9日の共和国創建70周年記念日を勝者の大祝典で輝かせよう」と書かれていたが、「勝者」の文字が消され「敗者」と落書きされたという。

報告を受けた当局は、非公開だった金正恩氏の指示を「公開」に切り替え、住民に恐怖を与えることで政治ポスターの破損事件を減らそうとしている。

しかし、落書きは収まるどころかむしろ全国に広がり、今度は労働党創建70周年関連のポスターへの落書きが相次ぐようになった。落書きの背景には、当局が「記念行事のため」として住民から金品を収奪したり、各種行事へ動員していることへの強い不満があると見られる。

情報筋によると、「政府が事件の詳細を公開したため、逆に落書きを煽ってしまった」と、落書き多発の理由を語った。

岐阜で起きた安倍総理のポスター破損事件は、容疑者が逮捕されたが、北朝鮮では容疑者が逮捕されたかは不明だ。政治ポスターをめぐる両国の現状はどこか似ているようだ。

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