「全党、全国、全民が立ち上がり、収穫と脱穀戦闘を力強く繰り広げよう!」というスローガンのもとに北朝鮮では9月中旬から春と秋の恒例行事である「農村支援」がはじまった。

しかし、例年より5日前倒しされたことから各地で混乱が生じていると平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。

先月15日、朝鮮労働党中央委員会書記局は、「農村支援総動員期間」を全国に宣布。工場、企業所のイルクン(従業員)、軍人、学生、専業主婦(実際は市場の商人)が農村支援に動員されている。

工場では、生産ラインの維持に必要な最低限の人員だけを残し、他の従業員は、すべて農村に動員された。洞事務所(末端行政機関)は「飯を食って生きている者は、全員農村に行け」と老人まで動員している。

今年の農村支援が5日前倒しにされたのは、10月10日の朝鮮労働党創建70周年記念日までに稲刈りを終えたい中央の思惑があるからだ。当日に収穫の成果を宣伝できるからだろう。ところが、農村支援者を受け入れる側の協同農場では困惑が広がっている。

受け入れ体制が整っていないのに、支援者が到着してからだ。支援者の世話のため農場員は右往左往しており、支援者は寝床すらなく、とりあえず農場の宣伝室で雑魚寝している。

道の鉄道管理局は、支援者を都会から農村に運ぶために臨時列車まで運行している。人民委員会、検察、保安署は「農村支援総動員指揮部」を結成し、工場や家々をまわり、動員に応じずサボっている者はいないかチェックする。

保安員(警察官)は、町中の交差点で通行人を見張り、用もなくブラブラしている住民や私的な用事で町に来た人を捕まえて、無理やり農村に連れて行く。

こうした状況に住民からは、「まるで戒厳令だ」「農村に無理やり連行するなんて強制動員だ」と不満の声が上がっている。なかには動員をサボっている工場の幹部の部屋の前で「飯を食って生きている者は全員農村に行け」と嫌味ったらしく叫ぶ住民すらいるという。

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