北朝鮮当局が、北朝鮮に在住する「華僑(以下、在朝華僑)」に対する締め付けを強化しているという。背景には、中朝関係の悪化があるようだ。

北朝鮮在住華僑への弾圧について伝える香港の週刊紙「亜洲週刊」
北朝鮮在住華僑への弾圧について伝える香港の週刊紙「亜洲週刊」

2015年に入って、北朝鮮当局は、在朝華僑が所有する住宅を没収したり数十人をスパイ容疑で逮捕して一部を収容所送りにするなど、様々な弾圧を加えているが、一連の弾圧の規模が、既報よりも大々的であることが明るみに出た。

香港の週刊誌「亜洲週刊(2015年9月27日号)」によると、少なくとも100人以上の在朝華僑が逮捕された。

同誌に対して、中朝貿易に従事している徐福森氏(仮名)は、「今年に入ってから北朝鮮の国家安全保衛部(秘密警察:以下保衛部)が、在朝華僑の逮捕を始めた。夏以降、より激しくなっている。自分の知る限り少なくとも100人以上が逮捕され、取り調べを受けた」と語った。

保衛部は、在朝華僑たちに対して「スパイ行為」「韓流ドラマの視聴」「国内の状況を撮影して国外に持ちだした」「脱北者をサポートした」「宗教の宣伝を行った」など、ありとあらゆる理由を付けて逮捕しているという。

別の情報筋によると、逮捕された在朝華僑の多くが懲役8年以上の刑に処せられ「終身刑や銃殺のケースもある」とのことだ。

徐氏の知人は2014年末に、違法な動画を持ち込んだ容疑で逮捕され、保衛部の取り調べを受け、懲役6年の刑に処せられた。また、徐氏の家族の華僑の同僚2人は、慈江道(チャガンド)の中江(チュンガン)郡でスパイ容疑で銃殺された。

在朝華僑は、80年代中頃には2万人を超えていた。しかし、中国は急速な経済発展を成し遂げたが、北朝鮮には一向に変化がない。さらに、中朝関係の悪化で弾圧が厳しくなり、処遇は悪くなる一方だ。こうしたことから、北朝鮮に嫌気がさして中国に帰国する人が増えている。

公式統計がないだけに正確な数は不明だが、丹東市政府の関係者が亜州週刊に語ったところによると「在朝華僑は、約5400人まで減少した」という。一方、同市に在住する在中北朝鮮華僑は約400人に達する。在朝華僑が、中国に帰国する場合、住居や仕事を自力で探さなければならない。しかし、様々な優遇策が適用されることもあり、定年退職した人を中心に帰国する人が増えているという。

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