北朝鮮の各地では、10月10日の「朝鮮労働党創建70周年」に向けて故金日成主席と故金正日総書記父子の銅像建設が進められているが、住民からの不満が高まっているとデイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。

恵山市に完成した金日成氏、金正日氏の銅像(画像:労働新聞)

銅像建設が確認された都市は、平壌、咸興(ハムン)、元山(ウォンサン)、平城(ピョンソン)、海州(ヘジュ)、沙里院(サリウォン)、江界(カンゲ)、羅先(ラソン)など10都市に及ぶ。25日には、両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)市で銅像の除幕式が行われたと朝鮮中央通信が26日に報じた。

華々しく除幕式が開かれる一方、銅像建設や除幕式の準備で、連日動員されていた住民の間からは「銅像を建てたからといって、忠誠心が高まるわけじゃないのに」「動員で疲れるだけだ」と不満の声もあがっている。

銅像建設のみならず今月10日前後には、労働党創建70周年関連のさまざまな記念行事があることから、恵山市民が動員の日々から解放されるのは、まだ時間がかかりそうだ。そんななか、相次ぐ住民動員が、地域経済に少なからず悪影響を与えている。

例えば秋の収穫。恵山のある協同農場には、例年なら大峰(テボン)青年鉱山から大勢の鉱山労働者が収穫の手伝いに来るが、今年に限っては非常に少ないという。「このままでは、人手が足りずに収穫が遅れ、収穫量も減るのではないか」と心配する声がある。

また、行事開催のための資金が不足しているため、金鉱労働者に「24時間、金を掘れ」という指示が下された。通常のノルマは1ヶ月に金12キロの算出だが、今月は15キロに増やされ、現場の労働者たちはてんてこ舞いだ。

金鉱労働者の間からは「金1キロを掘り出すのがどれだけ大変か知っているのか」「現場の大変さを知ろうともせず、指示を出すだけの幹部はいい気なもんだ」「お前がやれよ」など、反発する声がある。

かつては、越冬用の燃料を買うためにこっそり持ち出した「金」のかけらを横流しして、現金化するのは当たり前の行為だった。また、幹部や保安員(警察)たちも大目に見ていた。しかし、ここ最近は監視が非常に強化されたため、それすらも出来ず、労働者たちの不満は高まる一方だ。

北朝鮮当局も、住民の不満を呼び起こすだけのムダな偶像物や、元が取れるとは思えないスキー場、豪華施設、観光施設の建設などは、さっさとやめて基本的なインフラ整備に資金を投入すべきだろう。

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