しかし、女性達が一日中働いてクタクタになって家に帰ると、仕事もせずに、ごろごろとしている夫はいまだに多い。家で友人とお酒を飲んで、遊んでばかりいる男性ほど、タバコもいつまでも吸っている。食べる米もないのに、お酒とタバコをやめることができない夫を前に、妻たちのため息は深まるばかりだ。
脱北者を性別の割合で見ると、女性が男性の2倍か3倍と圧倒的に多いが、この理由が、こうした北朝鮮の世相である。中国で働く北朝鮮女性のうち、夫に助けてもらって楽に暮らしていたという女性は100人に1人もいない。
食べて生きていくために足がむくむほど走り回っても、ますます生活が厳しくなる女性たち。夫に愛想を尽かした女性たち。未来に対する期待と希望を完全に喪失した女性たち。こうした女性達が「一度死ねばよい、二度死ぬこともない」と決心して豆満江を渡るのだ。