これだけでも女性たちのストレスは限界を越えるというのに、「将軍様の方針」と言いながら、「なぜ、スカートをはかなかったのか?」「なぜ、自転車に乗るのか」と、言いがかりをつけられたら、生きる意欲自体を完全に喪失してしまう。
女性たちは普段、農村を回って品物を直接購入して市場で売る。夜明けに起きて自転車に乗って、 農産物を購入するために農村に行かなければならない。保安員たちが早朝から道端に出て来て、「ズボン検閲」や「自転車検閲」をすれば、堪忍袋の緒も切れるだろう。
今、北朝鮮の女性たちがいる所では、誰かに少しでも何かされたらすぐに舌戦が始まる。
妻が家にいない家庭は、むしろ夫の「内助」が切実だ。90年代後半以後、北朝鮮ではお金を稼ぐことができない夫を「ワンチャン(家を守る番犬というニュアンス)」「昼電灯」と見下すことがあった。しかし、日頃の妻の苦労を少しでも理解できる夫は、市場に一緒に行って妻の後ろでうずくまって、いいがかりをつけられないように守ったり、体面を気にして、一緒に出ていくことができなければ家で夕飯の準備をしたりする。