他にも、1970年半ばに北朝鮮で発生した飛行機墜落事故も、金正日氏の指示で行われたものと推定されている。当時、平壌の順安飛行場を出発してパリに向かった、朝鮮民航(現高麗航空)のソ連製の旅客機が、離陸直後に墜落する事故が起きた。旅客機には文化人や芸術家など100人以上が乗っていたが、全員が犠牲となった。
彼らは、海外派遣から除外されていた「南半部(韓国)出身」の人たちだったため、金正日氏は、成恵琳氏の内縁関係を隠すためのテロを指示したとの疑惑すらある。操縦していたのが北朝鮮最高のベテランパイロット、キム・マノク氏(金日成の専用飛行機の責任操縦士)だったことも、噂話に信憑性を持たせている。
更に、アメリカや韓国など敵対国の前に、自分自身を露出させないという意図もあったと思われる。列車は他の交通手段よりも安全性が保障される。鉄道周辺の徹底した点検と警備、車の安全が確保されさえすれば、警護上の問題点は容易に解決される。
ある対北情報筋は、「北朝鮮がアメリカに対して感じている恐怖心は、私たちの想像を越えている」「飛行機は列車と比べて位置を追跡しやすく、テロやミサイル攻撃に非常に弱いという点をかなり懸念していると思われる」と明らかにした。