北朝鮮当局は、韓流ドラマや外国映画の流入を警戒しているが、流入は一向に止まらない。一般庶民のみならず、幹部クラスでも「外国映画を見たい」という欲求は止められないようだが、下手に発覚すれば最悪の場合、公開銃殺に処される可能性もある。

そこで、当局の取り締まりを逃れる「新手の裏ワザ」が編み出されているとデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。その「裏ワザ」とは外国映画の字幕を「韓国式」ではなく「北朝鮮式の字幕」にすることだ。

南北朝鮮で使われている言語は、「朝鮮語」「韓国語」と呼び方に違いはあるが、基本的には同一言語だ。しかし、長年の分断状況による文化の違いから、単語、スペル、発音など、両者の違いは広がる一方だ。どちらの言語なのかは、見聞きすればすぐに判別できる。「新手の裏ワザ」とは、この相違点を逆手に取って「北朝鮮式の字幕」にすることだ。

「最近、北朝鮮の幹部たちが、中国の輸入業者に『北朝鮮式の字幕が入っている外国映画を仕入れて欲しい』と要求するケースが増えている。北朝鮮式字幕であれば、正規ルートの外国映画と言い訳が出来るからだ」(内部情報筋)

過去、北朝鮮で放映されるすべての映画は「朝鮮語吹替」だった。原語は禁止されていたが、故金正日主席は「人民に外国語の勉強をさせよう」と指示を下し、字幕が導入されることとなる。

その後、文化芸術省傘下の「外国映画翻訳創作団」で外国映画の翻訳、字幕作業が行われ、字幕入り外国映画が大量に供給されるようになった。

字幕が北朝鮮式なら、取り締まりに遭っても「これは政府から供給されたものだ」といくらでも言い訳できる。

外国映画の流入取り締まりを担当する保衛部(秘密警察)も、個々のケースについて、逐一労働党中央の宣伝扇動部に確認できない。また、そうした立場でもないことから、結局は見逃されてしまうのだ。

一方、思想的、政治的に問題がなくても、外国映画に「韓国式字幕」が入っていれば問題になりかねない。なかには、韓流コンテンツを視聴した罪と同様に扱われる事例もある。こうした事情について、韓国在住のある脱北者は次のように語った。

「北朝鮮の人民は、命がけで外国映画を見る。彼らを守るためにも、『北朝鮮式字幕』を入れた外国映画を大量に制作し、流入させるべきだ」

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