「私の夫は、普段はデチョを吸っていましたが、親戚や友人が遊びに来るとなると市場に出むいては、ボックスタバコを、いくつか買ってきます。旧正月、秋夕(旧盆)にもなると1カートン買ってきて、客に振舞いまます。北朝鮮のホスピタリティとでもいいましょうか」
禁煙家が聞けば眉をひそめるだろうが、北朝鮮でタバコ文化は、このように定着しているのだ。
一般的な紙巻タバコは、国営の工場で作られる。タバコ屋では、国営製品も扱われるが、「自家製の紙巻タバコ」を売ることの方が多い。この「自家製タバコ」は、どのようにして作られるのだろうか。
タバコ屋は、まずタバコ工場の従業員とのコネを利用して「葉タバコ」を横流ししてもらう。手に入れた葉タバコは、天気のいい日に庭に並べて酢とソーダを入れた水を撒いて乾燥させる。この時、葉タバコをひっくり返してよく乾燥させるといい色に仕上がる。