乾燥させた「葉タバコ」をそのまま売ることもあるが、より儲けるために、「紙巻タバコ」が作られる。紙巻きは、細長く切った新聞紙に葉を撒けば完成。この時、朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」を使うのが秘訣だ。労働新聞は、紙質がいいのでタバコの味がよくなる。
こうして出来上がったタバコは、市場や路上、マンションの入口などで売られる。葉っぱだけでは、味もわからないので、試飲用も欠かせない。貧しい人の中には、店をはしごして、タバコ銭を節約する人もいる。
商人の中には、20年以上も製造しているタバコ職人も多く、その製造技術は、国営工場の製品の比べて遜色がない。生きるために細々とタバコを製造して売っていたら、「この人が作るタバコはうまい!」と人気を呼び、繁盛することもある。それを元手に「タバコ卸売業」に進出するケースもある。
タバコ一つを取っても、北朝鮮の市場では競争原理が働き、資本とノウハウが蓄積しているようだ。たかがタバコ、されどタバコ。世界的な禁煙ブームによりタバコ産業は斜陽産業かもしれないが、北朝鮮では、まだまだ成長産業のようだ。