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先月、北朝鮮と韓国は地雷爆発事件をめぐり対立。軍事衝突の危機は回避されたが、北朝鮮は大きな成果を得られなかった。これは明らかに金正恩氏の判断ミスと言っても過言ではない。

失地挽回のために、国内的に公開処刑などを通じた恐怖政治を強化することで、なんとか乗り切れるかもしれないが、国際的に植え付けられた「金正恩氏は未熟な指導者」「やっぱり北朝鮮軍は戦えない」というイメージをぬぐい去るためには、長距離弾道ミサイルの発射、そして、その後に続く核実験というシナリオしかない。

実際、金正恩氏は南北合意の直後に「和解は、自衛的核抑止力を中枢とする無尽強大な軍事力で成し遂げられた」と述べながら、軍事力の強化を主張している。

しかし、言うまでもなくミサイル発射と核実験によってもたらされるのは、国際社会からの制裁強化しかない。自らの権威を高めるために挑発をして、制裁を受ける。それに反発してまた挑発ーー金正恩氏は、いつまでこの悪循環を続けるつもりなのだろうか。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記