ロイター通信などによると、全世界に向けてテレビとラジオ放送を行っている英BBC(英国放送協会)が対北朝鮮放送を行う計画を発表した。

BBCのトニー・ホール社長は、海外向け放送「BBCワールドサービス」の拡大改変計画を発表。対北朝鮮向けの朝鮮語放送を制作し、短波で毎日、放送する計画も含まれているという。ただし、具体的な日程は発表していない。

計画の背景には、英国の政界やNGOなどから対北朝鮮放送の必要性が提起され続けてきたことがある。2008年に英国議会は、北朝鮮の民主化を促進する放送が必要だと指摘している。

これまで、BBCは北朝鮮当局の統制が厳しく妨害電波も発せられるため、対北朝鮮放送には消極的だったが、その姿勢を転換した。

BBCの計画について、NGO関係者からは「資金源と政治的意思を確立させるべき」との意見も出ている。政府支援がない状態では、充実した番組作りや、聴取環境の向上が難しいという理由だ。

しかし、別のNGO関係者は、「歴史も伝統もあり、コンテンツ制作能力が高い英BBCが対北朝鮮放送に参入することには、大きな意義がある」と語る。「海外放送を視聴する北朝鮮住民は年々増えている」というのがその理由だ。

こっそりと海外ラジオを聞く北朝鮮住民

韓国在住の脱北者からの聞き取り調査によると、北朝鮮住民の3割から4割が海外ラジオを聴取しているという調査結果が出た。国境地域に至ってはそれ以上の数字もある。

例えば、北朝鮮漁民は頻繁に韓国ラジオを聞くのは、「北朝鮮の天気予報は信じられない」という単純明快な理由だ。北朝鮮の天気予報を信じていたら生死にかかわりかねないという。

また、先月の地雷爆発事件をめぐり、北朝鮮が、韓国軍の対北朝鮮拡声器放送に対して、執拗に中止を要求したが、海外ラジオや海外情報の流入が北朝鮮の体制不安に繋がりかねないことを自ら認めた形だ。こうした背景から、米国や韓国では国家やNGO団体が中心になって、北朝鮮向けのラジオ放送に力を入れている。

当面の課題としては送信方法などが挙げられる。BBCは、短波での送信を計画しているが、北朝鮮で短波ラジオを持っている人は限られている。中波での送信がより効果的だが、日本やロシアなど北朝鮮近隣国の送信所を借りなければならない。

BBCの対北朝鮮放送が成功するためには、やはり英国政府がこの計画への支出を決断するか否かにかかっている。

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