中朝国境を流れる川沿いに鉄条網を張ったり、落とし穴を掘ったりと脱北防止にやっきになっている北朝鮮当局が、今度は「許可された時間外に河原に降りたら銃で撃て」という指示を国境警備隊に下した。その詳細を、両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。

8月中旬の北朝鮮の恵山市。国境警備哨所の前には脱北防止用の白い壁(黄色い丸)が作られている。(画像:デイリーNK取材班)
8月中旬の北朝鮮の恵山市。国境警備哨所の前には脱北防止用の白い壁(黄色い丸)が新たに設置された。(画像:デイリーNK取材班)

8月初め頃、人民班(町内会)の会議で「河原に近づくと国境警備隊の警告射撃を受ける可能性があるので、許可された時間以外には河原に近づくな」との指示が下された。この話を伝え聞いた住民たちは撃たれやしないかと不安になっているという。

情報筋が長年親しくしている国境警備隊の隊員によると「住民が河原に降りたら警告しろ、川に足をつけたら警告射撃しろ」という指示が下され、隊員ですら自由に河原に降りられない状況だ。

許可された時間帯に水汲みや洗濯で河原に降りているときは国境警備隊の隊員がすぐそばで監視する。隊員ですら夕涼みや水泳もままならず、指揮官がつくという。

こうした状況に住民たちは「脱北するやつは、とっくに脱北しているのに、何を恐れているのだ。我が国の人民はもはや自由に足を洗うことすらできない」と嘆いている。(朝鮮で「足を洗う」ことは日本の入浴に相当する習慣だ。)

さらに老人たちは「日本の植民地時代より殺伐とした雰囲気。自分の国の川で足を洗うことすらできない現実に涙が出る」と悲しんでいる。

また、密輸業者からワイロがもらえなくなった軍人たちも国の指示を不満に思っているという。

このような現実がある一方で、家族単位での脱北が相次いでいる。組織的な脱北には効果がないにもかかわらず、国境警備を強化することは、商人や一般庶民を苦しめ、恨みを買うだけの愚策と言えよう。

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