金正恩第一書記の実妹である与正(ヨジョン)氏は、正恩氏の公式活動に頻繁に同行するなど、日増しに存在感を高めている。ところが、彼女の学生時代の同級生十数人が謎の失踪を遂げたと咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。失踪の裏に一体なにがあったのか。

今年5月ごろ、金与正氏の金日成総合大学時代の同級生十数人が、勤務先の平壌の中央機関から一斉に姿を消した。その後、全員が地方に追放されたことが明らかになるが、追放の理由は、ほんの些細な言動だった。

彼らは「金与正は同級生だ」と周囲に言いふらしていた。これが、党中央に報告され、「最高尊厳の同級生であることを軽々しく吹聴するのはけしからん」と見なされたものと思われる。実際、周囲の人たちは、「おそらく金与正との関係を吹聴して、コネを利用しようとしたのだろう」と語る。

金与正氏(参考写真)
金与正氏(中央)

激怒して銃殺

ただし、活発で社交的な性格の金与正氏は、友人・知人が多いことから追放された同級生たちにも「困ったときは私の名前を出して」と言っていた可能性もある。また、彼女が事前に追放措置を知っていたら反対していただろうとも言われている。

「金与正は同級生」発言が、何らかの実害を出したとは考えにくいが、それにもかかわらず、追放されたのは「金正恩氏の意向が強く働いた」」と内部情報筋は見ている。

金正恩氏が現地指導する様子を、笑顔で見守る与正氏(労働新聞より)
金正恩氏が現地指導する様子を、笑顔で見守る与正氏(労働新聞より)

追放措置が下された5月、金正恩氏はスッポン工場の現地視察に訪れ、激怒。その後、工場の責任者は銃殺に処された。また、現役の人民武力相・玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)氏が銃殺された時期と重なることから、内部情報筋は「神経質になっていた金正恩氏が、追放命令を下したのではないか」と語った。

【動画】金正恩氏、スッポン工場で「激怒の現地指導」

同級生の追放措置に、与正氏はショックを受け、しばらく仕事が手につかなかったとも伝えられている。住民たちも、追放措置を下したと見られる金正恩氏に対して手厳しく、声を潜めながら次のように語っている。

「金正恩氏は、虫の居所が悪ければ部下に対してその場で粛清の命令を出すぐらいせっかちだ。幹部はもちろん、叔父も殺したぐらいだから妹の同級生を追放することぐらいはなんとも考えていないだろう」

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