今年3月、北朝鮮の金正恩氏は「国境に『物理障壁』『監視障壁』『電波障壁』の3大障壁をより高く積み、現代化せよ」という指示を出したと米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えてきた。

恵山付近の民家と国境哨所 (画像:酒紅)
恵山付近の民家と国境哨所 (画像:酒紅)

具体的には、中朝国境を流れる鴨緑江、豆満江を渡っての脱北行為や、情報の流出、流入を防ぐために「様々な装置を設置せよ」という指示だ。

北朝鮮当局は「物理障壁」として、6月初めからロシア製の高さ1.6メートルの鉄条網を国境沿いに設置する作業を開始した。その上に4本の電線を設置し、合わせて2メートルの高さにした。

さらに、足あとがつきやすいように河原に砂を敷いたり、刃と釘を打ち付けた板を設置するなどの作業に加えて、鉄条網のそばに、わざわざ幅4メートル、深さ3メートルの「落とし穴」を掘る作業を始めたのだ。しかし、なぜか時間がたつとこの作業が中断される。

両江道(リャンガンド)の情報筋は「作業が中断された理由は、落とし穴には脱北を防ぐ効果がないことが判明したからだ」と語る。

「掘削機械なしで、すべて手掘りの作業だ。こんなやり方では数百キロに及ぶ中朝国境すべてに落とし穴を掘るには数十年かかる。まったく馬鹿げた計画だよ」(内部情報筋)

咸鏡北道(ハムギョンブクト)でも、同様の計画が進められたが中断されたという。

「6月末、国境警備隊に『落とし穴を掘れ』という指示が下されたので、とりあえず掘り始めた。ところが、1メートルも掘ると川の水が染みこんで来て掘れないことが判明し、すべて中止となった」(咸鏡北道の情報筋)

くだらない作業に動員されてクタクタになった国境警備隊員の間からは、「ドブ掘り事業」などと金正恩氏の指示を揶揄しているという。

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