金正恩氏と会おうとしたゼマン大統領に対して激しい批判の声が上がるなど、共産主義国の人権蹂躙に対して非常に敏感なチェコ。

米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)によれば、チェコ政府はこのほど、今月19日に行われた北朝鮮の地方議会選挙について問題を提起したという。

共産主義時代にチェコ秘密警察StBの本部があった建物(画像:Laika ac)
共産主義時代にチェコ秘密警察StBの本部があった建物(画像:Laika ac)

チェコ外務省はVOAの取材に対して「北朝鮮の選挙は、有権者の自由な意思表明を保証するという国際法に定められた約束に違反している」として、憂慮の念を示した。

また、その根拠としてチェコ外務省は、世界人権宣言と自由権規約を挙げている。自由権規約の25条(b) には「普通かつ平等の選挙権に基づき秘密投票により行われ、 選挙人の意思の自由な表明を保障する真正な定期的選挙において、投票し及び選挙されること」と明示されている。

さらに「北朝鮮は自由権規約を批准し、国民の権利を憲法で保証しているが、国際規約に基づいて選挙が行われているかは疑問」「チェコ政府は北朝鮮当局に国際社会との協力と国際的な義務の遵守を定期的に督励している」と語った。

冷戦時代に共産主義国だったチェコは北朝鮮と友好関係にあったが、民主化以降は北朝鮮に対して非常に批判的になっている。

チェコ外務省関係者は昨年10月のVOAとのインタビューで、北朝鮮の人権蹂躙の責任者を処罰すべきだと語っている。また、今年2月にはポーランドからチェコに異動したばかりの金平日北朝鮮大使に対して、「北朝鮮の許されざる人権状況の改善のために何かをすべき」だと伝えている。金平日氏は故金正日総書記の腹違いの弟だ。

金平日氏の駐チェコ大使の就任に前後して、プラハの旧共産党本部では金正日氏の写真展が開かれたが、世論の反発で金正日氏の写真はわずか2日で撤去される憂き目にあった。

1948年にソ連により共産主義国家にさせられたチェコスロバキアを始めとして、ポーランド、ハンガリー、バルト3国などの東欧の国々では共産主義に対する拒否感が非常に激しい。共産主義がどのようなものであるかを直接経験しているだけに、遠いアジアで起きていることもまったくの他人事とは考えていないのだ。

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