朝鮮半島では伝統的に「三伏」の日が最も暑いとされる。夏至から数えて3番目と4番目の庚(かのえ)の日、立秋から数えて最初の庚の日がそれに当たる。今年は7月13日、7月23日、8月12日だ。この日にはうなぎならぬ参鶏湯(サムゲタン)を食べて精をつける。

夏の北朝鮮の農村(画像:Clay Gilliland)
夏の北朝鮮の農村(画像:Clay Gilliland)

北朝鮮の7月11日の最高気温は、咸鏡北道の明澗(ミョンガン)で38.5度、平安南道の南浦(ナムポ)で37度に達するなど、例年より激しい猛暑に襲われている。そこで北朝鮮当局は、出勤時間を早める「朝活」を導入したが、これが評判がすこぶる悪いとデイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。

平安南道(ピョンアンナムド)の内部情報筋は語る。

「7月13日から全国の機関、工場、企業所、学校で『午前8時だった出勤時間を午前5時に、退社時間を午後1時に早めよ』と『夏の三伏日課』を行うよう指示が下された」

猛暑に襲われている北朝鮮では、暑い午後の時間はとても仕事ができる状況ではない。また、屋外での作業は熱中症の危険もある。そこで北朝鮮当局は、「日の出前に出勤して朝の涼しいうちに仕事をして本格的に暑くなりだす正午までには仕事を終えて効率化を図る」ことを考えたようだ。

平壌市内のレストランで使われていたエアコンはなぜか韓国のLGのものだった。(画像:読者提供)
平壌市内のレストランで使われていたエアコンはなぜか韓国のLGのものだった。(画像:読者提供)

北朝鮮でも、平壌市内の中央機関、地方の党機関、貿易会社幹部の部屋などにはエアコンがある。しかし、日照りによる深刻な電力難もあって、エアコンはおろか扇風機すら使えない。

こうした事情から、2000年代に金正日氏の指示で「朝活」が行われるようになったが、庶民の立場にたったものではなく、あくまでも高級幹部が暑さで仕事ができない状況を改善するための措置だった。

ところが、日々のスケジュールがいきなり3時間も早められたためにちょっとした騒動となっている。

学校に通う子どもたちは明け方の4時に起きることになったが、寝坊して遅刻する生徒が続出。1時間目、2時間目の出席率は半分にも満たない学級も出てきた。

役所や地方政府も午前にしか業務を行わなず手続きが滞る。食堂は、午前しか営業せず、出張や旅行に来た人々は夕食にありつけない。その結果、食料を購入できる店を探してさまよい歩くはめになった。

こうした現状にもかかわらず、北朝鮮当局はこの措置を「人民の健康を心配される元帥様(金正恩氏)の愛と配慮」などと騒ぎ立てているが、案の定、住民からは愚痴のオンパレードだ。

「どうせ仕事もなければ電気もないのに早く出勤して何になるんだ?」

「朝早く起きるはめになってクタクタだ」

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